駁二芸術特区と呼ばれるこの場所では、「衝突」することが素晴らしい力である。
忘れ去られた旧倉庫は、数々の歴史に埋もれている。芸術や文化というのは、絶えず創造性やインスピレーションを生み出し、古い物と新しい物が融合し合う中で、新たな生命力をもたらすのである。
埠頭に隣接する倉庫一帯にある芸術特区は、車両や船舶だけでなく、にぎやかな人々や海風が入り交じり、解放的な空と海のように広々とした視野が無限の思考を引き出すのである。海と陸が融合する中で、輝く未来が行き交うのである。
運営管理を担当する公共部門と自由奔放なアーティストは、個々に夢を持っているが、ここではお互いが協力し合い、整合性を取りながら方向性を調整し、理想に向かって歩んでいる。行政と芸術が衝突する中で密接な関係を築き上げ、人々が想う駁二のイメージを作り上げてきた。
いわゆる素晴らしい力とは、時間と精神的な積み上げが必要である。
2000年に国慶日の花火が初めて首都の台北ではなく、高雄で打ち上げることとなった。花火を打ち上げるのに適した場所として、人々は港に隣接している駁二倉庫を発見し、一部の熱心な芸術界関係者が、2001年に駁二芸術発展協会を設立し、台湾南部の人文芸術発展の基地として駁二芸術特区の実現を促進したのである。
2006年に高雄市政府文化局は駁二芸術特区の運営を引き継いだ後、高雄設計節、好漢玩字節、鋼雕芸術節、貸櫃芸術節、高雄人來了大公仔、Live Warehouse駁二音楽コンサート等様々な個性的で創造性溢れるイベントが開催され、活気に満ちた斬新なコンセプトと外観を兼ね備えた駁二は、港町文化の魅力と美学を築き上げた。
蓄積された芸術の力はタイミングよく開花する
過去と現在に関わらず、駁二の倉庫は高雄市民にとって欠かせないものである。過去に魚粉と砂糖を保管する場所として、港地域の繁栄に貢献した。現在は、設計や創作の力を積み上げることにより、自由創造を求める人々にインスピレーションを与えている。かつて港まで貨物を運ぶ西臨港線鉄道は、現在高雄で最も人気のあるライトレールとなり、駁二芸術特区を走行し、駁二の倉庫エリアは単に物を保管する場所という概念を打ち破り、芸術と世界がつながり、新たな時代の幕開けとなった。
駁二は特殊な環境に位置しており、他のアートセンターとは違う。市民の憩いの場として、海を眺めながら自転車で西臨港線沿いをサイクリングしたり、公共スペースではあっと驚くような芸術作品が発見できる。駁二周辺は青い空の下、写真撮影の絶好スポットとして人気がある。また、季節毎に異なる特色のある展示を鑑賞できたり、毎回訪れる人々に新たな喜びと感動を与える。